楽譜って凄い
クラシックピアノは、まず、楽譜に書いてあることに忠実に演奏することが、大前提です。
ただ、楽譜も、編集者によって、違う解釈が書き加えられている物もたくさんあります。
指番号や、どちらの手で弾くか?などは、学習者の為に後から付けられていることが多いです。
装飾音符や、音自体が違うものまであります。
楽譜に書いてあることを理解した上で、一流ピアニストの演奏を聴いてみると
また色々な気付きや発見があります。
この辺は語りだすと長くなるので、今回は置いておいて。
レッスン内での、小学生の「面倒くさいリスト」を書き出してみようと思います。
・楽譜を読むのが面倒くさい
・指番号通りにするのが面倒くさい
・スラーやスタッカートが面倒くさい
・アクセントがよくわからない(大きくするんじゃないの?)
・テヌートもよくわからない
・リピートが面倒くさい、同じじゃん
・強弱つけるのも面倒くさい
多く言われる順に並べてみました。
…どうしましょう???
...小学生は、正直です^^;
なぜか、休符やブレスは、あまり不平を言いません。
あまり重要と思っていなかった物を、凄く重要と説明されて、逆に受け入れやすいのでしょうか…?
小さい子は、存在すらも認識しにくく、反論する意識も持てないのかな?
楽譜から離れて、たいてい、国語の音読の宿題の話から説明が始まるので、何となく納得するのでしょうか(笑)
楽譜に書かれている要素を全部、音で出したら、作曲家の意図していた音楽になるのか?
と言ったら
やっぱり、それだけではないのは、もちろんで
書かれていないことも想像したり
【書かれてあること=楽譜】以外にも
多くの事を勉強しなければいけないわけだけれども
それでも、子供達が、楽譜に書かれていることが出来るよう、努力を重ねて弾き込んでいくうち、
無意識に、書かれていない何かを理解体得して自然と弾きこなし
本人も納得した様子で、しっくりくる演奏、さまになる演奏まで仕上げていると
「あぁ、練習頑張ったんだなぁ」と思うし、楽譜って凄いな、と感動します。
作曲家の意図が、楽譜を通して、演奏者に伝わり、昇華される瞬間。
何百年という時空を超えて、美しさや感動を分かちあえる素晴らしさ。
夏に、ピアニストの菊池裕介さんのバッハのインヴェンションの講座を受講したのですが
その時に
・今は、様々な楽譜を見て演奏出来るのが当たり前のことになっているが
バッハの時代は、練習するための楽譜なんてなかった。
・その時代、ピアニストという職業はなくて、音楽を仕事にする人はみんな音楽家だった。
・音楽家は自分で曲を作り、いろんな楽器を演奏する表現者だった。
・今は多くの音楽家の自己表現のための作品を、自分の表現のために使わせてもらえることを
感謝するべきだと思う。
ということを仰っていました。
確かにバッハの頃に、ベートーヴェンもモーツァルトもなかったわけです。
当たり前といえば当たり前で、音大卒の人にとっては常識すぎて口にすることもないのかもしれないけど、
私にとっては、このお話はかなりの衝撃でした。
このお話を伺ってから、改めて、それぞれの作曲家や作品に対する見方や想いが、変化した気がします。
知る前と後では全然世界が違う、私の中でのパラダイムシフト。
楽譜に忠実に、という大前提を少し補足してから
「目標はそれぞれでいい。」という話にしようと思っていたのに
「楽譜って凄い!」という話になってしまいました。
だから、みんな、まず譜読み頑張ろうね!!
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